画家のネイト・ジョルジオさんの談話
http://www.thenational.ae/apps/pbcs.dll/article?AID=/20091121/MAGAZINE/711209976/1284
1984年以来、私はマイケルに依頼された仕事を引き受けるようになっていましたが、裁判期間中はずっと音信不通になっていました。その後はマイケルはロスを離れ子育てに忙しくなり、余り仕事では関わっていませんでした。時々電話を受けて、少しの間話す程度でした。
2008年の夏にマイケルのアシスタントからメールを受取りました。そこにはラスベガスに来て新しいプロジェクトについて話を聞いてもらえないか、と書いてありました。私はマイケルはまだヨーロッパか中東に住んでいると思っていたので、アメリカに帰ってきたと聞いて大変嬉しく思いました。私はすぐにその当時取り掛かっていた新しい作品のポートフォリオをまとめてラスベガスに飛びました。
家の中に入るとマイケルのアシスタントに大きなゲーム室へと案内されそこでマイケルを待ちました。 10分か15分待った後、マイケルの足音が聞こえたのでそちらを向くとパリス、プリンス、ブランケットが
お父さんと一緒に歩いてくるのを見ました。
「ネイト!」マイケルは言いました。
「マイケル、随分久しぶりだねえ。」私は笑いました。
「本当だね。」と彼は答えました。
すぐにマイケルは子供達に紹介してくれました。私は子供達3人が非常に丁寧で、控えめで、感じが良かったので感心しました。本当に素晴らしい子供達でした。マイケルは私の方にやってきて昔のように抱き合いました。マイケルはなじみの黒いフェドーラ(中折れ帽)を被り、黒いジャケットを着て、首にシルクのスカーフを巻いていました。マイケルは元気そうで機嫌が良く、活気に溢れていると思いました。
私の作品集をめくりながら、「今は自由な作品作りをしているんだね、ピカソのスタイルみたいな。」 とマイケルは言いました。
私はマイケルが細部にこだわった作品を愛していることを知っていましたので、その頃形象美術的なものに取り組んでいたことを説明しました。このようにして私達の会合は進みました。私達は常に素描や絵画について語り合っていたのです。マイケルにスケッチをしているか聞いてみると、やりたい
けれど余りできていないということでした。二人で向かい合って座るとマイケルはどういうことを計画し ているか話し始めました。
「また働くことになったんだ。」
とマイケルは言いました。部屋を見回して腕を振りました。「ここはほんの一時的な住まいで、それほど遠くないところに新しい家を準備してるんだ。なのであなたに僕や子供達の大きな絵を描いてもらって壁全部に掛けたいと思ってるんだ。」
マイケルは最近私がクインシージョーンズのために描いた壁画を見たそうで、それをとても気に入ったとのことでした。二人ともどれだけ労力が要る仕事になるかわかっていたと思います。マイケルはこちらを見たときに私の表情に気づいたのでしょう、「あなたならできるよ・・・僕はとても大きな大きな油絵がほしいんだ。」
「そう。どれぐらい大きな?」と私は聞きました。
マイケルは20フィートぐらい離れた壁を指差しました。
「ここに来て絵を書いても良いよ。出来上がっていくところを見たいから。全部記録に残したいんだよ。」とマイケルは言いました。
マイケルは私に新しい家にはこれまでの賞や記念の品を飾って、訪れる人たち全てに見てもらえるようにするつもりだと語りました。そして壁には残らず油絵や壁画を飾りたいとも。
私達はもう一度電話番号を交換し、私はロスに戻って新しいアイデアを練ってスケッチを見せるつもりだと伝えました。マイケルから歴史に関係した場面やテーマを考えて欲しいこと、自分と子供達
を色々な場面を使ってスケッチして欲しいことを要望されました。
そのすぐ後、マイケルはビバリーヒルズのキャロルウッドに引っ越しました。1月から6月までの間に数回マイケルに会って、私達は新しい絵画についてのコンセプトについていくつか考えました。
マイケルは発想を得るために、素晴らしい美術に関する本を山のように用意していました。
こうして会っていた時、マイケルはとても楽しそうで絵を描くのをすぐに始めてほしがっていました。
私はマイケルに太い筆を使ってスケッチするときの筆の持ち方を教えながらスケッチブックに数点、スケッチをしました。そのときにはこれがマイケルをスケッチする最後になるとは思いもよりませんでした。
最後にキャロルウッドの家で会ったとき、私達はマイケルと子供達の写真を撮る手はずについて話しました。その写真は新しい絵の参考に使うつもりでした。マイケルが私に最初に描いてほしい絵は、明るい月の光の下を
自分が子供達を連れて深い森を歩いているものでした。私は素早く下書きしてメモを取り、自分の荷物を片付けました
帰ろうとして私は美しい玄関の広間の方へ歩いていきました。私達の頭の上の壁にはいくつかとても大きな油絵が飾られていたので私はこう言いました。「マイケル、これぐらい大きな絵にしよう、いやもっと大きくてもいいかもね。では、また近いうちに会おう。」
私がマイケルの方を振り向いたとき、彼は大きな広間の端に立っていました。短い沈黙のあとにマイケルは私を見て静かに
「神の祝福がありますように。」と言いました。
ネイト・ジョルジオさんが描いたマイケルの絵
http://www.youtube.com/watch?v=HC-fqbLVvHU&feature=channel
※左:マイケル直筆の指示が書いてある紙
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